水道事業・水道サービス事業

水道事業・水道サービス事業業界に属する企業は、給排水処理システム(一般的に、規制公益事業として構成される)の所有および運営、あるいはシステム所有者(通常は市場ベースでの運営)に運用サービスおよびその他の専門的な水道サービスを提供している。給水システムには、水の調達、処理、および住居・企業や政府など他の事業体への配水が含まれる。排水システムは、下水、汚水、産業廃水や雨水流出を含む排水を集めて処理した後で、自然界に放出することになる。

関連問題 (七 の 二十六)

いくつかの問題がグレーアウト表示されている理由 SASB基準は産業内の異なる持続可能性リスクと機会により産業ごとに異なります。灰色で示されている問題は基準設定プロセスの際、企業価値に影響を与える可能性が最も高いものとして認識されなかったため、基準には含まれていません。時とともにSASB基準理事会が市場のフィードバックを受け取るにつれ、いくつかの問題が基準に追加され、あるいは 基準から削除されることがあります。各会社は、持続可能性問題がその会社の企業価値を作り出す能力に影響するかどうかにつき、自ら決定します。この基準は産業内の典型的な会社を対象として設計されていますが、それぞれの会社は、各社独自のビジネスモデルに基づき異なる持続可能性問題について報告することを選択できます。

開示トピック

一般問題カテゴリと開示トピックの関係はどのようなものですか? 一般問題カテゴリは、各SASB基準に出てくる開示トピックの産業非依存性版です。開示トピックは、一般問題カテゴリの産業特異的な影響を表しています。産業特異的開示トピックは、各SASB基準が産業に合ったものであるようにし、一方一般問題カテゴリは産業全体に渡る比較ができるようにします。例えば、健康と栄養はノンアルコール飲料産業における開示トピックで、顧客福祉という一般的問題に対する産業特異的対策を表しています。しかし、顧客福祉という問題は、バイオテクノロジー・医薬品産業では、偽薬開示トピックとして表されます。
一般問題カテゴリ
(産業非依存性)

開示トピック (産業特異的) に対し: 水道事業・水道サービス事業

エネルギー管理
  • エネルギー管理

    水道事業・水道サービス事業業界の企業は、飲用水や排水の取水、運搬、処理、配水または排水に多大なエネルギー投入を必要とする。水道事業の事業コストはエネルギー使用に直接関連しており、一般的に企業の事業コストとしては、購入した水、化学薬品および人件費に次ぐ最大のコストとなっている。購入した系統電力が最も一般的なエネルギー投入である。より遠隔地では、自家発電が機器に電力を供給するために使用される。購入した系統電力の非効率的な使用は、スコープ2の温室効果ガス排出などの環境外部性を生み出す。環境問題に対処する規制は、将来の系統電力のエネルギーミックスに影響を与え、価格上昇につながる可能性が高い。さらに、気候変動も系統電力の信頼性に影響を与え、水資源の利用可能性に影響を与えると予想される。その結果、水源へのアクセスがより困難になるため、将来的には水道事業者のエネルギー強度が増大する可能性が高い。リサイクルや淡水化などの代替水処理も、より多くのエネルギーを必要とする可能性がある。代替燃料、再生可能エネルギーおよびオンサイト発電の使用に関する決定とともに、エネルギー効率は、エネルギー供給のコストと信頼性の双方に影響を与える点で重要な役割を果たすことができる。
水及び下水管理
  • 配水網効率

    水道事業者は、大規模なパイプライン、運河、貯水池やポンプ場を含め、相互に接続された複雑なインフラネットワークを開発、維持および運営している。配水管網ではかなりの量の水が失われる(顧客の請求書に反映されない配水量であるため、「無収水」と呼ばれる)。この水が失われる主な原因は、配管やサービス接続からの漏水など、インフラの欠陥や非効率性である。無収水の実質損失は、業績に悪影響を及ぼし、顧客の料金を上昇させ、水およびエネルギーや処理薬品など他の資源を浪費する可能性がある。逆に、インフラストラクチャーと運用プロセスの改善は、無収損失を限定し、収益にプラスの影響を与え、場合によってはコストを削減できる。運用および保守費用や設備投資を配水システム(主にパイプラインおよびサービス接続の修理、改修および交換)に効率的に振り向けることで、企業価値を向上させ、高い投資収益を得ることができる。
  • 廃水品質管理

    上水処理施設や廃水処理施設からは、環境リスクや人の健康上のリスクに影響を及ぼす可能性のある廃水が生じる。廃水には、処理プロセスで使用された化学物質や、投入された原水や廃水から除去された汚染物質で構成される残留物や固形物が含まれる。処理された廃水は、施設から表層水に排出されるか、地下水に注ぎ込まれる。潜在的な環境影響は、処理および廃棄プロセスによって異なる。さらに、消費者や規制当局は、廃水処理施設が通常対応していない内分泌かく乱化学物質(EDC)を含む物質に対する懸念を強めている。廃水に関連する環境リスクの結果として、処理施設はその影響を管理および監視することを目的とした広範な環境規制の対象となっている。懸念が生じつつある物質に関する新たな懸念に伴い、廃水の品質に対する公衆や規制当局の監視が強化されているため、企業は革新し、廃水が環境や人の健康に害を及ぼさないようにする必要がある。最大限度を超えた排水は、規制当局の重大な罰則につながる可能性があり、頻繁に発生すると、公益事業者の事業のための社会的ライセンスを危うくする可能性がある。企業は、適切な訓練を受けた経験豊富な労働者を配置するだけでなく、インフラや設備の計画、維持管理および運営を通じて、財政的な影響を能動的に管理することができる。
アクセスとアフォーダビリティ
  • 水道のアフォーダビリティとアクセス

    清潔な水への信頼できるアクセスは、一般的に基本的人権とみなされている。合理的で手頃な価格設定は、この権利を構成する要素である。したがって、地域社会が公正であると認識する方法で水道料金を設定することは、水道事業者の価値にとって非常に重要である。規制当局と協働して地域社会の受容度を高める料金体系を導入できる企業は、財務の安定性を高め、特に世界の多くの地域では水道インフラが資金不足となっている状況を踏まえると、潜在的に成長の機会を実現する可能性がある。水へのアクセスを阻害するような料金体系や、低所得者層にとって法外な費用がかかるような料金体系を採用している水道事業者は、地域社会の反対を受ける可能性がある。企業は、公正な価格設定とアクセスを確保し、長期的にインフラに十分な資金を供給し、安全な飲用水と適切な廃水処理を提供し、資本からの適切な利益を回収できるような料金設定をしなければならない。
製品の品質と安全性
  • 飲用水の品質

    この業界の企業は、水が規制に適合し、顧客の期待に沿ったものであり、確実に提供されることを保証しなければならない。人の健康を守り、企業価値を守るために、企業は水源を汚染から守らなければならず、これにより処理プロセスやコストが削減される可能性がある。包括的な処理プロセスは、水質基準を満たすように設計、開発および維持されており、完成水の生産は、コンプライアンスと安全性のために定期的に監視されている。森林火災や洪水などの自然現象も、水源の水質に影響を与える可能性がある。全体として、企業は顧客に安全な飲用水を一貫して提供するために多大な資源を投資している。適切な品質の水を提供できなかった場合、規制上の罰金、訴訟、事業コストや資本支出の増加、レピュテーションリスク、資産や事業の差押さえにつながる可能性がある。
ビジネスモデル回復力
  • 最終用途効率

    顧客レベルでの水の効率化と保全は、政府の義務、環境意識または人口統計学的傾向の産物であるかどうかにかかわらず、長期的な資源の利用可能性と業界の水道供給セグメントの業績にとってますます重要になっている。最終使用効率のトピックでは、資源効率化の必要性が高まっている中で、水道事業者が規制当局と協働して収益の減少を軽減する方法を取り上げている。料金デカップリングを含む水効率メカニズムは、水道事業者の収益がその固定費を適切にカバーし、販売量に関係なく望ましいレベルのリターンを提供できるようにすると同時に、顧客に節水へのインセンティブを与えることができる。効率化メカニズムは、水道事業者の経済的インセンティブを、資源効率化、料金の引下げおよびインフラへの資本投資の増加を含む環境的・社会的利益とよりよく整合させることができる。水道事業者は、能動的な規制当局との関係、効率性を組み込んだ先進的な料金体系および効率化戦略の強力な実行を通じて、料金メカニズムの影響へのエクスポージャーを管理することができる。
材料の調達と効率
  • 水供給のレジリエンス

    給水システムは、地下水および表層水源から取水する。水供給は、直接アクセスする場合と、第三者(多くの場合は政府機関)から購入する場合がある。水不足、水源の汚染、インフラの障害、規制上の制限、利用者の競合および顧客による過剰消費はすべて、十分な水供給へのアクセスを危うくする要因である。これらの問題は、気候変動による極度で頻繁な干ばつのリスクの増加と相まって、不十分な水の供給や義務化された水の制限につながる可能性がある。関連する財務上の影響は、料金体系に応じてさまざまな方法で現れる可能性があるが、収益の減少を通じて企業価値に影響を与える可能性が最も高い。水供給の問題は、購入水の価格上昇につながる可能性もあり、その結果、事業コストが上昇する可能性がある。地震などの事象によって生じる可能性のある送水路や運河などの重要なインフラの障害は、水道供給システムの顧客に壊滅的なリスクをもたらす可能性があり、計り知れない財政的な影響を与える可能性がある。企業は、水供給の多様化、持続可能な取水量、技術やインフラの改善、緊急時の計画、規制当局やその他の主要な利用者との能動的な関係、および料金体系を通じて、給水リスク(およびそれに伴う財務リスク)を軽減することができる。
気候変動の物理的影響
  • ネットワークのレジリエンスと気候変動の影響

    気候変動は、インフラや運用に潜在的な影響を及ぼすため、給排水システム事業に不確実性をもたらす可能性が高い。気候変動は、水ストレスの増加、過酷な気象現象の頻発、水質の低下および海面上昇をもたらし、事業者の資産や運営能力を損なう可能性がある。水の供給と排水処理は、継続性を維持することが最も重要な基本的なサービスである。暴風雨の頻度および重大性が増加することは、上下水処理施設にとって課題となり、サービスの継続性に影響を及ぼす可能性がある。激しい降雨は、処理施設の能力を超える下水量につながり、結果として未処理の廃水が放出される可能性がある。サービスの中断やサービスの質の低下の現在および将来のリスクを最小化するためには、追加の資本支出や事業費が必要となる可能性がある。気候変動により、異常気象が発生する可能性が高くなるため、冗長性と戦略的計画によってこれらのリスクに対処する企業は、顧客へのサービス向上と株主価値の保護をより良く図ることができる。

産業を4つまで選択

現在の 産業を:
水道事業・水道サービス事業
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再生可能資源と代替エネルギー セクター
資源の変換セクター
サービスセクター
テクノロジー&コミュニケーションセクター
運輸セクター