建設資材

建設資材企業はグローバルに事業を展開しており、建設会社や卸売業者に販売するための建設資材を生産している。主にセメントや骨材であるが、ガラス、プラスチック素材、断熱材、レンガ、屋根材などが含まれる。資材メーカーは独自の採石場を運営し、砕石や砂、砂利を採掘している。また、鉱業や石油産業から原材料を購入することがある。

関連問題 (九 の 二十六)

いくつかの問題がグレーアウト表示されている理由 SASB基準は産業内の異なる持続可能性リスクと機会により産業ごとに異なります。灰色で示されている問題は基準設定プロセスの際、企業価値に影響を与える可能性が最も高いものとして認識されなかったため、基準には含まれていません。時とともにSASB基準理事会が市場のフィードバックを受け取るにつれ、いくつかの問題が基準に追加され、あるいは 基準から削除されることがあります。各会社は、持続可能性問題がその会社の企業価値を作り出す能力に影響するかどうかにつき、自ら決定します。この基準は産業内の典型的な会社を対象として設計されていますが、それぞれの会社は、各社独自のビジネスモデルに基づき異なる持続可能性問題について報告することを選択できます。

開示トピック

一般問題カテゴリと開示トピックの関係はどのようなものですか? 一般問題カテゴリは、各SASB基準に出てくる開示トピックの産業非依存性版です。開示トピックは、一般問題カテゴリの産業特異的な影響を表しています。産業特異的開示トピックは、各SASB基準が産業に合ったものであるようにし、一方一般問題カテゴリは産業全体に渡る比較ができるようにします。例えば、健康と栄養はノンアルコール飲料産業における開示トピックで、顧客福祉という一般的問題に対する産業特異的対策を表しています。しかし、顧客福祉という問題は、バイオテクノロジー・医薬品産業では、偽薬開示トピックとして表されます。
一般問題カテゴリ
(産業非依存性)

開示トピック (産業特異的) に対し: 建設資材

GHG排出
  • 温室効果ガス排出

    建設資材、特にセメントの生産は、現場での燃料燃焼や化学的プロセスから大量の温室効果ガス(GHG)直接排出を発生させる。この業界では、生産される資材1トン当たりの排出量削減のために、効率性の向上を達成してきた。同時に、生産量の増加は、セメント生産からの絶対的な排出量増加につながっている。 建設資材の生産は、他の業界と比較して炭素集約の程度が高い状態が続いており、排出規制による操業費と資本の支出増加に晒されている。GHG排出量を削減するための戦略としては、エネルギー効率(の向上)、 代替燃料や再生可能燃料の使用、炭素隔離、クリンカの代用などがある。操業効率性は、GHG排出量を費用対効果の高い形で削減することで達成することができる。このような効率性(の向上)により、GHG排出量制限・価格付けを意図する規制に由来する、燃料費・GHG排出量増加の潜在的な財政面への影響を緩和することができる。
大気質
  • 大気質

    建設資材業界における現場での燃料燃焼と生産プロセスは、少量の有機化合物と重金属を含む、規制大気汚染物質と有害化学物質を排出する。特に懸念される排出物には、窒素酸化物、二酸化硫黄、粒子状物質、重金属(水銀など)、ダイオキシン、および揮発性有機化合物などがある。これらの大気排出物質は、人間の健康と環境に局所的かつ重大な影響を与える可能性がある。こうした排出物質がもたらす財務面への影響は、事業運営が行われる場所や適用される大気放出規制によって異なるが、より高い操業費や資本支出、規制上または法的な罰則を含む可能性がある。技術やプロセスの改善を通じた問題の能動的管理により、企業は規制の影響を制限し、運用効率を高め、長期的にはコスト構造の低下につながる可能性がある。
エネルギー管理
  • エネルギーマネジメント

    建設資材の生産には、主に化石燃料の直接燃焼と購入電力に由来する大量のエネルギーが必要である。大量にエネルギーを消費する生産行為は、気候変動との関わりが示唆されるとともに、系統電力の購入は間接的なスコープ2の排出につながる可能性がある。 建設資材会社もまた、他の業界から廃棄物として発生した廃タイヤや廃油などを代替燃料として使用している。これが適切に管理されれば、エネルギーコストと温室効果ガス(GHG) 排出量を削減することができる。しかし、代替燃料利用には、有害な大気汚染物質の排出など、潜在的な負の影響が存在するため、代替燃料を使用することによる利益を最終的に得るためには、こうした負の影響を最小限に抑える必要がある。 代替燃料、再生可能エネルギー、自家発電(系統電気の購入と反対の意味での)の使用に関する決定は、エネルギー供給のコストと信頼性の双方に影響を与える可能性がある。燃料と電力の購入費は総生産コストのかなりの割合を占めているため、手頃な価格で、簡単にアクセスでき、信頼性の高いエネルギーは、この業界の競争力における重要な要因である。建設資材会社が、自社の総合的なエネルギー効率、複数のエネルギー源の利用および各エネルギーに関するサステナビリティリスク、代替エネルギー源へのアクセス能力を如何に管理・運営するかが、その収益性を左右しうる。
水及び下水管理
  • 水資源管理

    建設マテリアルの生産は、生産プロセスのために相当量の水を必要とする。企業は、水不足、水の取得コスト、排水や使用水量に関する規制、地域社会や他の産業との限られた水資源をめぐっての競争などにより、事業、規制、評判のリスクに晒される。水不足地域では、水の供給制約や価格変動の可能性があるため、こうしたリスクが一層高まる可能性がある。安定した水の供給を確保できない企業は、生産の中断に陥る可能性があるほか、水価格の上昇は生産コストを直接的に増加させる可能性がある。その結果、水の消費量を削減する技術やプロセスを採用することで、規制や水供給不足、地域社会関連の攪乱が企業の操業に与える影響を最小限に抑えることができ、企業の操業リスクやコストを低減できる可能性がある。
廃棄物及び危険物管理
  • 廃棄物管理

    建設資材生産におけるリサイクル率は高い。しかし、生産工程や公害防止装置、有害廃棄物管理活動から発生する廃棄物は、規制上のリスクがあり、 運用コストを上昇させる可能性がある。セメントキルンダスト(CKD)は、大気汚染防止装置によってセメントキルンの排ガスから除去された微細な粒子状の強アルカリ性廃棄物で構成されており、この業界において最も重要な廃棄物の分類である。 規制上のリスクは、地方自治体や国のレベルでの環境法や他の廃棄物処理に関するものを含め、変化を続ける環境法により依然存在する。廃棄物処理、特に有害廃棄物処理を低減し、副産物をリサイクルする企業は、規制や訴訟のリスクとコストを低減することができる。
生態系への影響
  • 生物多様性への影響

    建設資材会社は、加工施設の近辺で独自の採石場を運営している場合が多い。 採石作業においては、植生や表土を除去する必要がある。また、その下にある石の堆積物の発破や破砕も必要となる。このプロセスは、生物多様性に影響を及ぼす、景観の恒久的な変化につながる可能性がある。 生態系に対する関心と保護活動の高まりにより、採石が行われる土地の環境特性が採石コストを増加させる可能性がある。企業はまた、生態学的に影響を受けやすい地域のサイトへのアクセスに関して、規制上または社会的評価的な障壁に直面する可能性がある。 これには、資源の埋蔵する地域に対する新規の保護指定が含まれうる。また、進行中の採石作業は、絶滅危惧種を保護する法律の規制対象となる可能性がある。 プロジェクトのライフサイクルのさまざまな段階(サイトの解体時の修復を含む)で効果的な環境管理計画を施行している企業は、コンプライアンスコストと法的責任を最小限に抑えられる可能性がある。これらの企業は、新しいサイトでの採石作業に対する地域社会の抵抗を軽減し、許可取得の問題やプロジェクト完了の遅れを回避することができる。
従業員の健康と安全
  • 労働力の健康と安全

    建設資材会社の従業員や請負業者は、重大な安全衛生リスクに晒される。業界特有の危険因子には、重機の使用や採石作業に起因するものが含まれる。 急性の影響に加えて、労働者はシリカ粉塵の吸入などにより慢性的な健康状態に陥る可能性がある。 こうした危険因子により、業界の死亡率は比較的高く、多くの企業は、こうしたリスクを軽減するために、厳格な安全文化と安全衛生方針を実施している。 労働者のケガ、病気、死亡事故は、規制上の罰則、悪評、労働者の士気と生産性の低下、医療費・補償費の増加につながる可能性がある。
製品設計とライフサイクル管理
  • 製品イノベーション

    建築資材のイノベーションは、サステナブルな建築の普及において重要な要素である。資源効率がより高く、建築物がライフサイクルを通してもたらす健康への影響を低減できるサステナブルな建材やプロセスの採用を消費者や規制の動向が、大きく後押ししている。 これは、建設資材会社にとって新たなビジネスの推進力となり、収益増加の機会をもたらしている。 さらに、新製品の中には、生産に必要なエネルギーが少ないものや、リサイクルされた資材を大部分に使用しているものもあり、生産コストの削減に資している。したがって、サステナブルな建材は、企業の長期的な成長と競争力の強化に貢献することができる。
競争行動
  • 価格設定の誠実性と透明性

    建設資材の市場では、カルテル活動による人為的な高価格の維持など、反競争的行動が付き物であった。ほとんどの国では、このような行為を防止するための、公正なビジネス慣行に関する法律が確立されている。価格固定やその他の価格操作につながる事業活動は、重大な罰金や事業の混乱につながる可能性がある。組織内で反競争的行動を管理することで、M&Aの調査やコンプライアンスコストなどの規制リスクを効果的に軽減することができる。

産業を4つまで選択

現在の 産業を:
建設資材
採掘・鉱物加工セクター
消費財セクター
財務情報セクター
食品・飲料セクター
ヘルスケアセクター
インフラストラクチャーセクター
再生可能資源と代替エネルギー セクター
資源の変換セクター
サービスセクター
テクノロジー&コミュニケーションセクター
運輸セクター