半導体

半導体業界には、半導体デバイス、集積回路、それらの原材料やコンポーネントまたは資本設備を設計ないし製造する企業が含まれる。この業界には、半導体デバイスの設計者のために、委託製造、組立てやその他のサービスを提供している企業がある。

関連問題 (九 の 二十六)

いくつかの問題がグレーアウト表示されている理由 SASB基準は産業内の異なる持続可能性リスクと機会により産業ごとに異なります。灰色で示されている問題は基準設定プロセスの際、企業価値に影響を与える可能性が最も高いものとして認識されなかったため、基準には含まれていません。時とともにSASB基準理事会が市場のフィードバックを受け取るにつれ、いくつかの問題が基準に追加され、あるいは 基準から削除されることがあります。各会社は、持続可能性問題がその会社の企業価値を作り出す能力に影響するかどうかにつき、自ら決定します。この基準は産業内の典型的な会社を対象として設計されていますが、それぞれの会社は、各社独自のビジネスモデルに基づき異なる持続可能性問題について報告することを選択できます。

開示トピック

一般問題カテゴリと開示トピックの関係はどのようなものですか? 一般問題カテゴリは、各SASB基準に出てくる開示トピックの産業非依存性版です。開示トピックは、一般問題カテゴリの産業特異的な影響を表しています。産業特異的開示トピックは、各SASB基準が産業に合ったものであるようにし、一方一般問題カテゴリは産業全体に渡る比較ができるようにします。例えば、健康と栄養はノンアルコール飲料産業における開示トピックで、顧客福祉という一般的問題に対する産業特異的対策を表しています。しかし、顧客福祉という問題は、バイオテクノロジー・医薬品産業では、偽薬開示トピックとして表されます。
一般問題カテゴリ
(産業非依存性)

開示トピック (産業特異的) に対し: 半導体

GHG排出
  • 温室効果ガス排出

    半導体業界の企業は、半導体製造工程から、特にパーフルオロ化合物による温室効果ガス(GHG)の排出を発生させている。GHG排出は、その結果として生じる財務的影響は排出量の大きさや現行の排出規制によって異なるものの、半導体企業にとって規制遵守コストや事業リスクをもたらす可能性がある。エネルギー効率の向上、代替化学物質の使用や製造プロセスの高度化によりGHG排出量をコスト効率よく管理する企業は、業務効率の向上と規制リスクの低減により利益を得る可能性がある。
エネルギー管理
  • 製造におけるエネルギー管理

    エネルギーは、半導体デバイスを製造するための重要なインプットである。代替的なエネルギー源がよりコスト競争力のあるものとなる一方で、従来型の系統電力の価格や化石燃料価格の変動は、気候変動規制の進展やエネルギー効率および再生可能エネルギーに対する新たなインセンティブなどの結果として上昇する可能性がある。エネルギーの調達や種類、代替エネルギーの使用に関する意思決定は、エネルギー供給のコストと操業の信頼性に関連したトレードオフを生み出す可能性がある。産業革新により製造プロセスが複雑化する中、半導体を製造するための新しい技術は、企業が業務のエネルギー効率化へ投資しない限り、より多くのエネルギーを消費する可能性が高い。企業がエネルギー効率を管理する方法、さまざまな種類のエネルギーへの依存および関連するサステナビリティリスク、および代替エネルギー源への企業のアクセス能力は、業績に影響を与える可能性が高い。
水及び下水管理
  • 水資源管理

    半導体製造プロセスでは、微量分子が製品品質に影響を与えないようにするため洗浄目的で大量の「超純」水が必要とされ、水資源は非常に重要である。製造が複雑化するにつれ、この業界の企業は超純水の使用量を減らすことが重要になっている。人口増加や急速な都市化による消費量の増加、気候変動による供給量の減少により、水は世界中で希少な資源となっている。さらに、開発途上国では、水汚染により利用可能な水の供給が不可能になったり、処理に費用がかかったりしている。慎重な計画がなければ、水不足は供給コストの増加、地域社会や政府との社会的緊張や、水不足地域における水資源へのアクセスの喪失を招き、生産に重大なリスクをもたらす可能性がある。製造時の水使用の効率を高めることができる半導体企業は、現地、地域および国の環境法が資源保全をますます重視している中で、リスクプロファイルが低く維持され、直面する規制上のリスクが低くなる。
廃棄物及び危険物管理
  • 廃棄物管理

    半導体の製造には有害物質が必要とされ、その多くは環境や安全衛生規制の対象となり、有害廃棄物を生み出して、水や空気の排出、固形廃棄物の形で環境に放出される可能性がある。製造中に発生する有害廃棄物の処理と処分は、事業コスト、資本支出、および場合によっては規制コストの増加につながる可能性がある。製造中に発生する廃棄物を削減し、再利用、リサイクルまたは適切な処分を確実に行うことができる企業は、現地、地域および国の環境法が資源保全と廃棄物管理をますます重視している中で、リスクプロファイルが低く維持され、直面する規制上のリスクが低くなる。
従業員の健康と安全
  • 従業員の安全衛生

    半導体製造における化学物質の使用が労働者の健康に及ぼす長期的な影響は、この業界にとって大きな懸念事項である。製造施設の労働者、特に保守作業員は、人の健康に有害であることが知られている化学物質にさらされる危険性がある。安全衛生基準の違反は、純利益や偶発債務に影響を与え、金銭的な処罰や是正措置の追加費用が発生する可能性がある。さらに、そのような違反は、非金銭的な処罰やレピュテーション影響につながり、収益や市場シェアを低下させる可能性がある。安全衛生問題の効果的な管理には、効果的な工学的制御の実施、危険性のより低い化学物質の導入や使用量の削減、労働者へのリスクが最も少ない化学物質の探求が含まれる。これらの対策を講じている企業は、ブランド価値を保護するだけでなく、規制有害物質と未規制有害物質の両方に関連する不利な法的結果から自らを守ることができる。
従業員エンゲージメント、多様性とインクルージョン
  • グローバルでの熟練した労働者の採用と管理

    半導体業界では、従業員は価値創造に大きく貢献している。企業は、電気技術者、研究科学者およびプロセスエンジニアを含む優秀な従業員の採用において競争と課題に直面しており、これらの従業員に対する報酬は、業界にとって重要なコスト要素となっている。国内の人材不足に対応するため、半導体企業では、オフショア化を進めながらも外国人を採用するケースが増えており、それに伴う人的資本管理の課題が発生している。国内の人材不足を補うために外国人を採用することは、労働者の受入国や母国での社会的影響に関連したリスクを生む可能性がある。半導体企業は、人的資本のニーズを満たすために、熟練したグローバルな従業員の才能を開発し活用する教育、研修および採用方針を確立することで、競争力のあるポジショニングを向上させることができる。そのような取組みは、イノベーションを促進し、労働者の生産性を向上させることで、新たな市場や新たな収益源へのアクセスを向上させると同時に、離職率が高くなる可能性の低い、より熱心な労働者を生み出すことにもつながる可能性がある。
製品設計とライフサイクル管理
  • 製品のライフサイクル管理

    デバイス同士の接続やインターネットに接続されるデバイス数の増加に伴い、半導体企業は、より高い計算能力とより低いエネルギーコストを可能にする製品に対する需要の高まりに直面している。半導体製造装置やデバイスメーカーは、装置やチップのエネルギー効率を高め、製品に含まれる有害物質を削減することで、製品が環境や人の健康に与える影響を低減させることができる。バッテリーの長寿命化、熱発生の低減、エンドユーザーの光熱費削減を可能にするエネルギー効率の高いデバイスに対する消費者の需要が高まる中、このニーズを満たす半導体メーカーは、競争上の優位性を獲得し、収益および市場シェアの拡大をすすめることができる。また、企業は、民生用機器向けチップの有毒物質の使用を削減し、最終的には使用をなくすように努力することでも利益を得ることができるが、これは多くの国で立法上の重要性が高まっている課題である電気電子機器廃棄物の使用後管理に影響を与える。
材料の調達と効率
  • マテリアル調達

    半導体業界の企業は、最終製品の主要なインプットとして多くのクリティカルマテリアルに依存している。これらのインプットの多くは、利用可能な代替品がほとんどないか、あるいは存在しないものであり、多くの場合、地政学的な不確実性にさらされている一部の国に集中している鉱床から供給されている。また、気候変動、土地利用、資源不足および業界のサプライチェーンが活動する地域での紛争に関連するその他のサステナビリティへの影響も、業界のマテリアル調達能力にますます影響を与えている。さらに、他のセクターからの世界的な需要の増加によるこれらのマテリアルの競争の増加は、価格の上昇と供給リスクをもたらす可能性がある。企業が潜在的なマテリアル不足、供給途絶、価格変動およびレピュテーションリスクを管理することは、透明性を欠くことが多いサプライチェーンからマテリアルを調達することが一般的であるという事実からより困難になっている。この問題を効果的に管理できない場合、必要なマテリアルへのアクセスができなくなり、利幅の減少、収益成長の制約やコストないし資本の増加につながる可能性がある。
競争行動
  • 知的財産の保護および競争行為

    半導体業界の企業のビジネスモデルには知的財産(IP)の保護が内在しているが、企業の IP 実務は社会的な係争問題となる可能性がある。知的財産保護はイノベーションの重要な推進力である一方、一部の企業は、それが市場を支配する企業の場合は特に、競争を制限するために特許やその他の知的財産保護を取得し行使することもある。業界基準の設定には特許権やライセンス条項に関する複雑な交渉が必要となる場合があり、企業はクロスライセンスやパテントプールを利用して特許権の藪(patent thickets)を巡る困難に対処している。しかし、そのような業界の協力は、例えば、ポートフォリオのクロスライセンスに価格協定を可能にする条項が含まれている場合など、独占禁止の懸念を引き起こす可能性もある。独占禁止や知的財産に関連した不利な法的または規制上の裁定が下された場合、ソフトウェアや IT サービス企業は、高額で長引く訴訟にさらされ、その結果、金銭的損失を被る可能性がある。そのような裁定は、特許や主要市場での優位性が法的に問われた場合、企業の市場シェアや価格決定力に影響を与え、収益に大きな影響を与える可能性もある。したがって、自社の知的財産管理やその他の事業活動が競争を不当に制限しないことを保証しながら、自社の知的財産の保護とイノベーションを促進するための知的財産の利用のバランスをとることができる企業は、市場価値を保護しながら、規制当局の監視や法的措置を軽減できる可能性がある。

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